トランス脂肪酸とは~含まれる食品と危険性について

トランス脂肪酸は、「狂った油」と呼ばれることもあり、体に悪いものとして知られている一面もあります。

しかし、体に悪いと言われる理由以前に、そもそもトランス脂肪酸とは何なのか、実際にはわからない人も多いようです。

それでは、トランス脂肪酸とはどのような脂肪酸であるのか、詳しくまとめ、含まれる食品や注意点などについて、管理栄養士が解説していきます。

トランス脂肪酸とは

トランス脂肪酸の基本情報

トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸に分類されます。不飽和脂肪酸は、炭素の二重結合の周りにある分子の構造によって、シス型とトランス型に分けられます。

シス型は、炭素に付く水素原子が同じ側にあるのに対し、トランス型は反対側に付いているのが特徴です。 天然の不飽和脂肪酸はほとんどがシス型であるのに対して、トランス型は加工や精製の過程で発生するものが多くなっています

トランス脂肪酸は、あえて摂る必要はない脂肪酸ですが、食の簡便化が進み、加工品などを食べる機会が増えた近年では自然と摂る機会が増えています。

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アメリカの動き

アメリカでは2006年から、トランス脂肪酸を含む食品について、含有量の表示を義務付けており、これによって、国民のトランス脂肪酸の摂取量が大幅に減少しています。

しかし、ピザやポップコーン、マーガリンなどの加工食品には、未だに多く使われており、冠動脈性心疾患のリスクを高める原因とされています。

アメリカでは、2018年までに、トランス脂肪酸の直接の発生原因となる「部分水素添加油(PHO)」の食品への添加を完全に撤廃すると発表されています。

日本においても、トランス脂肪酸の安全性については問題視されていますが、規制や表示義務などは特にありません。

これは、日本国民のトランス脂肪酸の平均摂取量が、WHO(世界保健機関)の基準よりも少なく、普通の食生活を送っていれば問題はないとされているためです。

トランス脂肪酸とコレステロールの関係

トランス脂肪酸を摂りすぎると、血中の悪玉コレステロールが増加し、善玉コレステロールが減少すると言われています。

悪玉コレステロールが増えると、動脈硬化が進み、心臓病にかかるリスクが高まります。

善玉コレステロールには、悪玉コレステロールを減らす効果があるため、減ってしまうとより冠動脈疾患のリスクを高めてしまいます。

しかし、トランス脂肪酸の健康への影響は、欧米人を対象として研究されたものが多く、日本人にも同じ影響があるかどうかは定かではありません。

また、トランス脂肪酸には、加工されて生じるもの、天然のものなど、さまざまな種類があります。

それぞれが異なる影響を及ぼすのかなど、まだ明らかになっていない部分も多々あります。 参照:農林水産省「すぐにわかるトランス脂肪酸」より

食品に含まれるトランス脂肪酸比較表

2003年に行われた「食事、栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAO合同専門家会合」では、トランス脂肪酸は、総エネルギー摂取量の1%未満とされています。

平均的な活動量の日本人に当てはめると、約2g未満が目標量です。

食品100gあたりのトランス脂肪酸含有量(範囲)
  トランス脂肪酸量
和牛肩ロース 0.27〜1.2g
和牛もも肉 0.12〜0.81g
和牛ヒレ肉 0.22〜0.86g
牛乳 0.069〜0.13g
プロセスチーズ 0.48〜1.1g
生クリーム 1.0〜1.2g
バター 1.7〜2.2g
マーガリン 0.36〜13g
ショートニング 1.2〜31g
調合油 0.73〜2.8g
ショートケーキ 0.4〜1.3g
クッキー 0.21〜3.8g
ポテトチップ 0.026〜1.5g
マヨネーズ 1.0〜1.7g
カレールウ 0.78〜1.6g
即席カップ麺 0.028〜0.16g
菓子パン 0.15~0.34g
トランス脂肪酸は、特に油脂類に多く含まれています。

バターやマーガリン、ショートニングなどの動物性油脂が比較的多く含まれる食品です。

また、菓子パンや洋菓子、スナック菓子にも多く含まれるので、注意が必要です。

トランス脂肪酸は、同じ分類の食品でも、商品によって含有量には大きく差があります。

しかし、牛乳や肉類など、天然のトランス脂肪酸は、加工食品に比べると、その量は少なくなっています。

摂り方、注意点

トランス脂肪酸は、不足して困るものではないので、極力控えたい栄養素です。

しかし、加工品やインスタント食品には多く含まれているので、コンビニや外食が多い人はオーバーしやすい傾向にあります。

また、脂質の摂取量が多い人は、自然とトランス脂肪酸の摂る量も多くなります。

家庭での食事をメインとする人でも、炒め物や揚げ物に偏っていると、トランス脂肪酸は増加してしまいます。

日本では、トランス脂肪酸の摂取目標量については定められておらず、食品における表示義務もありません。

しかし、近年ではトランス脂肪酸の含有量が従来のものよりも少なくなっている商品が開発されており、自主的に努力している食品事業者も増えてきています。

生活習慣病は、トランス脂肪酸だけが原因で起こるものではありません。

農林水産省では、脂肪だけではなく、食塩の摂取量にも注意が必要としています。

トランス脂肪酸だけに注目するのではなく、色々な食品をバランス良く食べるようにして、健康的な食生活を送りましょう。

まとめ

トランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸の一種で、分子の構造の違いによってシス型と区別されています。

天然の食品にも存在しますが、加工の段階で生じるものの方が多くなっています。

トランス脂肪酸が多く含まれる食品は、バターやマーガリンなどの油脂類、菓子パンや洋菓子などです。

コンビニや外食をよく利用する人は、トランス脂肪酸の摂取が多いと考えられます。

トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす作用があるので、冠動脈性心疾患のリスクを高めてしまいます。

完全に食事から取り除くのは難しいですが、脂質自体の摂取を減らしたり、トランス脂肪酸を多く含む食品の摂取を控えられるように心がけましょう。
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